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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第11章 愛心




そんなにひどい顔してる…?

でも確かに
血の気が引いていくのがわかる。

「大丈夫です。ちょっと、疲れただけですから…」

笑ってみせるが
宇髄さんはその表情のまま
私の手荷物を奪った。

「早く入ってちょっと休め」

私の肩を抱き、中へと招き入れてくれる。

「ごめんなさい。お腹空いてるでしょう?」

「そんなんいい!」

怒って言い捨てると、
私を連れて自分の部屋まで行った。
私は部屋の隅に座らされ
自分は押し入れまで行くと…

「宇髄さん!そこまでしなくても大丈夫です!」

布団を敷き始めるので、私はひどく慌てた。

「お前自分の顔見てこい!
医者が必要なくらい真っ白だぞ」

「え…」

つい自分の頬に両手を当てる。

「どうした睦。
お前このごろ、おかしいよな?」

宇髄さんは布団を敷く手を止めて
こちらに目をやる。

「おかしい、ですか?」

「またそうやってごまかそうとする。
俺のこと何だと思ってる?
お前の事は、何だろうと見過ごしちゃやらねぇぞ。
ちゃんと話せ!」

私の事を心から思ってくれる。
私の異変にすぐ気がついてくれる。
私のために、怒ってくれる。

泣き出した私のそばまで来て
愛しげに頭を撫でてくれた。

「俺が、お前に何を言おうとしているか、
もう勘付いてるよな?
それをわかった上で逃げるのは何でだ。
俺じゃ嫌か。俺とは結婚できないか」

切ない声。
不安に揺れる心が、痛いほど伝わってくる。

いつもはあんなに強くて
自信に満ち溢れているのに…。

私は、首を横にふる。

「そんなわけありません。
宇髄さんしかいません」

「じゃあ何でそんなに距離を置く?
かしこまって喋るな。遠くへ、行くな」

力いっぱい抱きしめてもらって、
私は、不安じゃなくて安堵する。

今なら、ちゃんと話せる。

「私は、
…宇髄さんのそばに置いてもらえたら幸せです。
宇髄さんに、幸せにしてもらえる。
今だって、こんなに大切にしてもらって…」

どうしよう、言い出したら止まらない。
黙って聞いてくれるから、余計に止まらない。



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