第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.
「俺だけしか知らねぇんだからいいだろ?
だいたい俺でああなるんだから
…あー…可愛すぎるな。つうか、
もっと欲しくなった…て言った?」
私の言った事を思い出しているのか
宇髄さんはゆっくり言葉を運ぶ。
そんなこと言ってないし!
「もう欲しくない…!
気持ちいいのもういやだぁ…うぅ…」
なんてバカな泣き方。
そうわかっているのに止まらなかった。
「わかったから…!
可愛いことばっか言いやがって…」
可愛いもんか。
あまりのバカさ加減に後悔しかない。
それなのに宇髄さんは
「おかしくなるのなんかお互い様だ。
俺だって相手が睦だからああなる。
別に悪いことじゃねぇだろ。まぁ…
確かに今回は、俺が一方的だった…」
ごめんと、もう1度謝罪をして
宇髄さんは私の背中に腕を回した。
「…も、しない?」
恐る恐る訊いてみると
「今はな」
誤魔化しのような返事をする。
今…。今だけ…?
「頼むからここにいろ。
今だけでもいいから…
俺の目の届かねぇとこに行かないでくれ。
ここにいれば、必ず俺が笑わせてやれるから」
伏せた顔を少しだけ上げると
大きな両手が頬にかけられて
グイと引き上げられる。
涙で濡れた頬に口づけながら
宇髄さんは安心したように
私を腕の中に閉じ込めた。
さっきまであんなに怖かったこの人の手に
ひどく安心させられて
私は少し戸惑ってしまう。
嫌いになんか、なりきれそうもないし
怖いからと言って
逃げ出す事も出来ないようだ。
私は結局、この人が大好きで
何をされたってそれは変わらないの。
この状況を受け入れ
おとなしくされるがままになっている私は
もう観念せざるを得ないのだ。
しかも、全部私のため。
私を悲しませる全てから守ってくれるため…
やり方は…どうかとも思うけれど
そんなに嬉しい事があるだろうか。
「うん…ここに、います」
宇髄さんが私を守ってくれると言うのなら
私は自ら箱の中に入っていよう。