第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.
あんなふうに私を襲う
過去に植え付けられた大きな恐怖。
その種は未だに、そこらじゅうに転がっている。
出来るものなら平気になりたい。
でもそんな事は無理な話で
なら、それを防いでくれると
この人が申し出てくれているのだから
もう甘えてしまえばいいと
そう思う自分もいるのだ。
例えば、やり方が狂気じみていたとしても
それが私のためなのだとこの人が言うのであれば
甘んじて受け入れたい。
理由を知る前と知った後とでは
こうも違った受け取り方ができるんだな。
ただ不安しかなかったさっきまでとは
大違いだった。
今はこの人が愛しくて仕方ない。
「睡眠薬を飲ませる、
とかでもよくありませんでしたか?」
眠ってしまえば
私は動けないし
さっきのような行為は必要なかった。
「睦、薬嫌いじゃねぇか」
「……あー…そうですね…」
そこまで考えての事でしたか…。
それはもう私の完敗だ。
「俺はお前がイヤな事はしねぇ」
「…さっきされました、しつこく」
「違うだろ。アレはヨかったろうよ」
「ちっちがいますよ!」
だけど私の本音に気づいている宇髄さんは
「クセになってもいいぜ。
いつまでも付き合ってやるから」
私の言葉なんか全く聞いていない。
「なりません!」
拳で宇髄さんの胸を殴りつけるも
「俺はなりそうだけど…
あんな泣き方されたら
もっと泣かせてぇし、それを見ていたくなる」
耳元でそう囁く彼には余裕しかない。
なんて憎らしい人。
「なんてこと言うの!
もう…やっぱり帰ろうかな!」
愛しげに微笑まれたら
私はもう勝てないと分かっているから
敢えて彼の顔は見ません!
そっぽを向く私に
「ダメだ。絶対ぇ帰さねぇ…」
わざとその声で、更に囁いた。
目を逸らすならと
別の戦法を取る宇髄さん。
くそぅ、
やっぱり敵いそうもないや。
☆彡