第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.
「もう、…動けねぇ?」
ぽつりと呟かれた言葉に、ふと目を上げる。
そこには
声と同じくらい切なげな瞳が揺れていた。
「え…?」
どう答えるのが正解なのかをつい考えてしまう。
限界まで疲れさせてごめんね、
という意味で言っているのなら
私は元気だし動けるよと答えてあげたいし
まだ元気があるならもっと攻める、
と言うのであれば
もう全然動けないと答えたい。
そしてそんなふうに私が悩んでいる事など
すっかりお見通しの彼……
「…余裕みてぇだな」
充てがわれた指が
陰裂を割りその内側をくすぐった。
「っやだぁ!もう無理!動けないからぁっ」
「…動けねぇの?」
最終確認をするかのような言い方…
「動けない…っ」
お願いだから…
「でも今、何て答えようか考えてたよな」
違う違うと私は頭を思い切り横に振った。
さっきから流れて止まらない涙が
頬を濡らしている。
いつもは泣かせないようにしてくれるくせに
今日は平気なの…?
「頭も、うまく…働かないの、もうやめて…」
なんとか誤魔化そうと
彼の胸元に額を擦り付け甘えて見せる。
「…喋るな」
「…え…?」
「喋る余裕がある」
「っ…‼︎」
脳を突き抜ける快感は
まるで痺れ薬でも投与されたかのように
私の身体の自由を奪う。
終わることのない甘い責め苦が
世界を歪ませ
私を堕とした
いつから目が覚めていたのか
それとも
ずっと目は覚めていたのかもしれない
ぼんやり見えるのはきっと天井で
身体の下に敷かれた柔らかいものは
きっと 布団だ
掛け布団も あるような
瞼と一緒
身体が重くて 怠い
上質な布団に沈み込む
この包まれた感触が
今は怖い
肌に触れるものすべて
自分が着ているものにすら
嫌悪感が溢れてくるようだ
指1本動かすどころか
まばたきすらままならない…