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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.






せめてさっきのように脚を閉じたいと
もぞりと体を揺らした。
でも腰をぎゅうっと抱えられていて
…動けない…

「こら、」

その腕に手をかけて訴えたのに
宇髄さんは私を窘めて
あまつさえもう一方の腕を
私の背中に回した。

離す気も逃す気もないらしい。

もう…

「みず、くださ…」

自分で出来ないならもういいよ、
淹れてもらったの飲むから。
とにかく喉を潤したい。
彼の真意なんて構っていられなくなって来た。

「はいはい、…すげぇ声になっちまったな」

宇髄さんはぽつりと呟き
私の事を心配してくれたのか
落っこちないように気をつけながら
両腕を頭の上に伸ばした。

手探りでそれを探し当て
宇髄さんは器用に、小さなグラスに水を注ぐ…

あれれ、もしかして今私
ものすごく自由かも、…

そう思った瞬間、
私はむくりと起き上がり
寝転んでいる宇髄さんの上から
スルリと畳に降りて座り込んだ。

「……お前…」

棚ぼた的に脱出成功した私を
片手に水差し、片手にグラスを持った宇髄さんが
呆れたように…
怒ったように?私を睨む。

乱されて剥き出しになったままの
肩や胸、脚を急いで仕舞い
宇髄さんの手の中のグラスをもらうため
片手を突いて彼の方に身を寄せた。

グラスに手を伸ばした時
スッとそれが逃げて行くではないか。

あれ、と彼の顔を上げると

「俺を騙した感じ?それともたまたまか」

あー…やっぱりちょっと怒ってらっしゃる。

私は『ううん』と騙した事を否定し
『うん』とたまたまだった事を首だけで伝えた。

「ふぅん…」

微妙な納得の仕方をして
宇髄さんは
自分も喉が渇いていたのか
グラスの中身をごくごくと飲み干してしまう。

あ、
と気がついてもう一杯分注ぐと
肘を突き身体を起こし
今度はそれを持たせてくれて
何やら思案顔で私の方をジッと見た。

私はその視線を受けて
ある事に気がつく。
きっとそうだ。
だってもうそんな時間だもの。

カラになったグラスを
水差しの置かれたお盆の上に一旦戻してから
立ち上がった私は
歪んだ着物をきゅきゅっと引っ張って
とりあえず整えた。


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