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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.






「……」

無言の訴えをする宇髄さん。
いやいや、

「みず…」

ガラガラの声で何とかそう伝えて
自分の喉を指差した。

「あぁ、水飲みてぇの」

ホッとしたように力を抜いて

「そこにある。淹れてやろうか」

いつもの水差しを指差して示す。
私はそれを一瞥し
もう1度首を横に振った。

そうしてまた起き上がろうとした私を
ぐっと引き止めて

「なんだ、どうした」

彼は困ったように眉を下げる。

……
どうしたは宇髄さんの方だ。

何故、私の行動を制限するんだろう?
さっきから私の自由を
奪っているような気がしてならないのだけど。
気のせいだろうか。

「疲れたろ。水なら取ってやるからそうしてろ」

「………」

絶対ヘンだ。
疲れたろって…

わざとそうさせたみたいな言い方をする。

1度疑惑を持つと全部が怪しく思えてくる。
私は宇髄さんから目を離さないようにしながら
もう1度首を振って腕に力を込めた。
さすが、表情からは何も感じ取れない。

それを力でねじ伏せて
しっかりと私を閉じ込める。

——いよいよおかしい。

「そんな顔すんなよ」

満足に声が出ないのだから
顔で示すしかないだろう。
それにしても
私は思ったより表情豊かだったらしい。
ちゃんと不満な思いが伝わった。
それから——

「そんなに自分で淹れてぇのかよ?」

そういうわけじゃないけど。
宇髄さんにウラがありそうだったから
試してみたかっただけだよ。

それから
思った事が、すこぶる顔に出やすいのだ。

「睦お前……
気づいてて俺を試してやがるな?」

不審そうに目を細め私を見上げる。

この人からは私の胸の内なんか丸見えだ。
でもそんなのはいつもの事だし
まったく気にはならない。
しかも別に、悪い事じゃないでしょ?

だってそもそも宇髄さんの方が
何かを隠しているのだから。
私は悪くない。



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