第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.
眠りから醒めきれず
しかも回復すらしていない…
そんなに体力ないのかなって
もうちょっと散歩とかしようかなぁとか
回らない頭で考えたりして…
「睦…?」
私が目覚めた事に気づき
宇髄さんが小さく私を呼んだ。
「ん、」
だけどやっぱり
まともな返事はできやしない。
「悪ィ…ちょっと、動かすぞ」
動かす、と言われても
自分が今どんな格好でいるかもわからない。
でもくっついている温もりが
離れてしまう予感がして
そんなのいやだと思った私は
咄嗟にその温もりに抱きついた。
「おい…これじゃダメだ」
どうやら私が抱きついた所は
宇髄さんの首だ。
だって声がすごく近いもの。
顔がすぐ隣にあるっぽい。
なぜこれがダメなのかはわからないけれど
私は離れる気だけはありません…
「睦、起きてるんだろ?」
起きてる…けど辛うじてだ。
飽くまで目が覚めた程度で
身体も頭も起きてはいない。
その証拠に、
話しかけられているのはわかるのに
返事ができない…
まだ、夢の中にいるようだ。
「ふわふわ…」
「あぁ?」
「んー…」
「……っくく。寝ぼけてんのか」
小さく笑って
「いい、いい。そうしてな…」
手を伸ばして、物を引き寄せるような音と
ごそごそと何かをしている気配を感じた。
横向きに寝ていたはずの私は
ころりとうつ伏せにされ
柔らかいやら硬いやら
何とも言い表し難いものの上に乗せられる。
…あれ
私は腕をスルリと戻して
自分の頬に当たるものを掌で確認してみた。
ちょっとひんやりとして
表面は柔らかいのにその奥は硬い…
こんなもの、人肌としか考えられない。
宇髄さんの胸の上に違いなかった。
脚は互い違いになって畳に落ちていたけれど
身体は落っこちないように
キュッと両腕が守ってくれている。
それが心地いい。
心地よすぎて
本当にまた眠ってしまいそうだよ…