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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.






「俺ずるい?」

「うん…ずるいです。
私が断れないようにするの上手くて」

「ぷ…何だそれ」

「あ。何で笑うの!」

幸せな手から目を離し顔を正面に向ける。

「悪ィ悪ィ。なんか今日可愛いな」

それはそれは嬉しそうに笑う宇髄さんこそ
とっても可愛いです。
というより、さっきから可愛いです…!

つい凝視めてしまったぼんやりとした視線に
私の想いを読み取ったのか
ムッとしたように睨みを効かせ、

「なぁ…」

すすっと顔を寄せる。

あ…これは…逃げられないかも


「ここにいるよなぁ…?」

おねだりにも似た物言い。
今日は可愛く迫るつもり?

調子を狂わせられながらも
どこか楽しんでいる自分がいて
乗ってあげてもいいかなぁなんて
甘い事を考えてしまう。

「何で急にこんな事になったんですか?」

うちに帰るはずがこちらに来たり
急に甘やかしたり甘えたり…

「何でって事あるか。
睦があんなとこで
おかしくなった、から、だろ…」

ひと言発する毎に
『言っちまった』の色が濃くなって行く。

おやおや?
いつも用意周到、
濡れぬ先の傘
の、宇髄さんがそんな失言をしたりして。
珍しい事もあるものだ。

何とも言えない表情。
への字口で目線を逸らす宇髄さん…
よっぽど言うつもりのなかった事なんだろう。

「…そっか…忘れてました…」

そうだった。
町の真ん中で過呼吸起こして
宇髄さんに迷惑かけたのに。

「忘れてたぁ?」

「うん…ずーっと昔の事みたいです」

「はー……」

宇髄さんは呆れ顔で私を見下ろし
だけどすぐに穏やかな表情になっていった。
その移り変わって行く様に見惚れていると
優しい微笑みを湛えながら

「ま、忘れられたんなら、よかったよ…」

きゅうっと
胸が締め付けられるくらい温和な話し声。
その声も、その目も、大好きだよ。

「もっと…」

「ん?」

「もっと、言って…?」

たくさん聞きたい気分なんだ。



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