第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.
「宇髄さん」
部屋から出て大きな影を探す。
屋敷の中はシンとしていて
少しだけ薄暗く
何だか淋しいような気持ちが私を襲っていた。
さっきの宇髄さんの様子がおかしくて
それも手伝っているのだと思う。
あの言い方は
いつもの彼とは別人みたいだった。
ちょっと影を落とした表情が
目の裏に焼き付いて離れない。
小さな不安と共に廊下を進むと
私の視界の両端から伸びてきたものに
ぎゅっと捕らえられた。
「ぅわ…っ」
「どこ行くんだ」
埋まってしまう程の強い力に締め付けられて
ただ驚いて声も出せない。
「部屋出ていいなんて言ってねぇぞ」
「あ…ぇ…?」
部屋を出たらいけなかったの?
それは、知らなかったな…
「部屋にいろ」
「…宇髄さんを、探してたんです」
「俺?」
少しだけ、声色が変わった。
気をよくしたのがわかる。
そのせいか、私の緊張も少し溶ける。
「はい…」
「ごめんな、何かあったか?」
「いえ…何も、なくて…」
「ん?」
私の身体をくるりと返し
宇髄さんは私を正面から抱きしめ直した。
…密着度が高い。
いつもだけど
いつにも増して
「何もないのに、
ずっと部屋にいるの落ち着きません」
「おぉ、そうだな。じゃ俺も行く」
このままの格好で
ずるずると歩き出した宇髄さん。
「え…また戻るんですか?」
「あぁ。なんでだ?」
「…なにかしたいです」
「何かって?」
「例えば…家事とか」
会話の間にも宇髄さんは自室へと足を運ぶ。
抵抗、とまでは行かないにしても
ほんのちょっぴり踏ん張ってみたりして。
意味のない事はわかりきっているけれど。
「しなくていい。
そんな事させるためにここへ来たんじゃねぇ」
「えぇ…でもせっかく居るんですから
ちょっとくらい…」
「却下」
「えー…」
「いいんだよ、
睦はここにいるだけで」
「なんで急にそんな…」