第51章 .☆.。.:..密室:*・°☆.
包み込まれたついでに
胸元にもたれかかってみる。
安心して全身を預けても
まったく揺らがないこの感じが好きだ。
「そうか…ならよかったって事で」
「はい、よかったです」
「はは…そうかそうか。…喜んでるか?」
「すごく。すごーく」
『すごく』の気持ちの表現として
ぎゅうぅっと抱きつくと
同じように強く抱きしめ返してくれて
「なんだかご機嫌だなぁ?」
嬉しそうに笑う。
「私は幸せだなぁと思って」
「誰のおかげー?」
自分こそご機嫌さんだ。
でも、私が幸せなのは宇髄さんのおかげで
宇髄さんが笑ってるのは私のせいなら
こんなに素敵な関係ってないと思うの。
「宇髄さん」
顎を上げて
目を合わせてからそう伝えると
幸せそうな笑顔が徐々に寄せられて
甘く口唇を合わせられた。
「俺がいればいい?」
「はい」
その返事が気に食わなかったのか
宇髄さんはコツンと額をぶつける。
……
「宇髄さんがいればいいです」
そう言い直すと
頬を擦り寄せて……
どうやら正解だったようだ。
言葉にしろという事ね…?
いつも、言葉より態度、と言うのに
珍しいこともあるものだ。
「俺といれば安心する?」
「はい、宇髄さんと一緒にいれば安心です」
「俺とずっと一緒がいいか?」
「……ずっと、一緒がいい、です」
なんか
しつこくない?
甘やかな語らい、の範疇を
超えているような気がするのは
気のせいだろうか…
「他はなくてもやってけるか?」
「他…?」
少しずつ懐疑の念が広がっていく私は
すんなり答えることができなくなっていた。
「俺がいれば
俺以外のすべてがなくてもいいと言えるか」
「……それは、言えます…」
言える、といってしまって良かったものか
それをほんのちょっぴり後悔していると
「なら、」
宇髄さんは私をスッと離し
「睦はここにいろ」
真っ直ぐに私を見てはっきりとそう告げた…