第50章 .☆.。.:..初心:*・°☆.
言いながら
言葉選びを間違えたような
間違えていないような…
そんな言い方で良かったのか
言いたかった事がちゃんと伝わるのか
それがまた不安で
宇髄さんの顔を見られなかった。
それにしても
返事がない…
やっぱりもう遅かったかな?
今更そんなこと言うなよって
思われてるやつかなぁ…?
なら言わない方がよかった。
だって言わなければ
このまま何事もなかったように装えた。
お互い、嫌な気持ちにならずに済んだ…
「睦…」
ビクッと、肩が跳ねた。
何を言われるかを恐れてしまった…
「はい……」
蚊の鳴くような、とはこの事。
情けない声だ。
そんな私の頬に両手が添えられる。
そうしてキュッと、上を向かされて
「話や頼みがある時は
相手の目を見て言うモンだ」
まるでおばちゃんみたいな事を言う。
「へ…?」
「はい。もういっぺんやり直し」
どこぞの学校の先生みたいな態度に
「…まだ、一緒に居させて下さい…」
言われた通り
真っ直ぐに目を見て、私はそう言い直した。
さっきまであんなに不安ばかりだったのに
宇髄さんの目は優しくて穏やかで
私のその言葉を待ってくれていたような…
一言一句、聞き漏らさないように
ちゃんと聞いてくれているのが伝わって
大きな不安なんて
どこかへ消え去ってしまったみたいだ。
「睦がいいなら
俺こそそうしてぇとこだけど…」
愛しげに額を擦り合わせ
にっこりと微笑んでくれる宇髄さん。
「いいのか?」
近い…
今度は違う緊張が私を支配する。
「あ…あの…近いです…」
「焦らすのかよ。たまんねぇな」
嬉しそうに笑う宇髄さんは
ぐりぐりと額を押しつけて
急激にご機嫌になった。
焦らす?
それはどういう事だろ。
あ
『いいのか?』に答えなかった事かな…
「はい、できれば…ですけど
…もう遅いかもって思って…
だってもう、帰るとこだったし、」
「ほんとだよなぁ。
ここまで追い詰められねぇと言えねぇのか」