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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第50章 .☆.。.:..初心:*・°☆.






…宇髄さん、
このまま別れるの
嫌だな


だって嬉しかったんだよ。
わざわざ会いに来てくれた事。
嬉しかったのに
全然伝えられないまま別れるなんて…
次にいつ会えるかなんてわからないのに
誤解されたまま帰るなんて
そんなバカなことがあるだろうか。


だけど、どうしよう。
どうすればいいかな。
今更…今更こんな事を伝えたら
どう思われるだろう。

何で最初から言わないんだと呆れられる?
それとも
今頃言うなよって怒られる?


私がくだらない事で
頭を悩ませている間にも
宇髄さんはどんどん歩いていってしまって
当然ながら右側の道を辿ろうとする。


ほんとは何か予定があったか?
ごめんな


そう言った時の宇髄さんの
困ったような淋しいような笑顔が
頭に浮かんだ。

優しいこの人に
あんな顔をさせて…
私は一体、何をやっているんだろう。

この人には
本当の事を言わなくちゃ。
だって本気でぶつかって来てくれる人なのに。
いつも私の事を
全力で受け止めてくれるのに。



勇気を
出さなくちゃ

じゃなきゃ私
この人を失ってしまう



「宇髄さん‼︎」


緊張のしすぎで
声の大きさを間違えてしまった気がする。

その証拠に

「おお!どしたぁ?」

腕を組んでのんびり歩いていた宇髄さんが
一驚を喫し勢いよく振り向いた。
ついには立ち止まって
俯きがちな私の顔を覗き込む。


今日会ってから
ほとんど喋らず…、
しかも私から話しかけることなんかなかったのに
突然あんな大声で話しかけられたら
そりゃ驚きもするだろう。

私は宇髄さんの帯のあたりをぎゅっと握って
大きく息を吸い込んだ。

「あのっ…こっち…こっちに行きたいです!」

精一杯の勇気を振り絞って
左の道を指さす。
宇髄さんはその指の方向に
ゆっくりと目をやって

「…あー…あぁ、いいけど…
そっちからは帰れねぇだろ?」

何言ってんだ?みたいな顔をした。
もう帰ることしか頭にないのだ。

うぅ、違うんだよぉ。

「ま、まだ…帰りたく、ない…」


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