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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第50章 .☆.。.:..初心:*・°☆.





いや、思わせてしまったのだ。
私が否定しなかったから。

だけど本当は
急に来てくれて嬉しくて
だけど間が持たなくて散歩に誘って
なのに緊張し過ぎて会話も弾まず
それでもこうして一緒にいられる事が
嬉しくてたまらないのだけど。

それをうまく伝える術を
私は知らない。
うまく言えないのは
言わない事に慣れているから。

言ってはいけないと教え込まれた心が
自分の心は内側に隠す事を常としているから。

だけど

ヒマじゃない、と言われてしまった…
きっとこの人の事だから
私に気を遣わせないために言った事なんだろう。
それでも申し訳なくて仕方がなかった。

そうだよね。
ヒマでもないのに時間を見つけては
マメに私の所に来てくれて…
なのに私はこんなだし。

そりゃそうだ…

帰ろうって言われても仕方ないよ。
でも
ほんとは帰りたくないですって素直に言ったら
一緒に居てくれるかなぁ…

いや、でもヒマじゃない…?

きっと今夜もまた
私の知らないオシゴトへと出かけて行くのよね。
それなら忙しいに決まってる。
私とこんな事してるよりも
準備をしたり心を整えたり
自分の事をやりたいに決まっているのに。

私はなかなかお団子に手をつけられずにいた。
宇髄さんはしばらくの間
私の様子を窺っていたけれど
そのうちお店の女中さんを呼んで
お団子を包むように頼んでくれた…









私の家は山の手前にある。

大きな川に沿って少し歩いて行くと
これまた大きな桜の木があって
それを過ぎたらすぐそこだ。

その川に行く手前が分かれ道になっていて
右に行けば川沿い、
左に行けば町の裏通り。


宇髄さんは私のお団子を手に提げて
のんびり歩を進めていた。


さっきお茶屋さんで言っていた通り
宇髄さんは家まで送ってくれようとしていた。
私は一歩遅れてその後をついて行きながら
当たり前のように右の道を辿ろうとする彼の
広い背中を見上げる。



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