第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
あーあ…
困ったなぁ。
もし
何であの時うちに来たのか、
と問われたら、もう謝るしかねぇ。
あなたのせいで両親を失った、
と責められても、謝るしかねぇ。
俺の出来る限りの償いはするけれど
こいつがそれを望むのかすら不明だ。
顔も見たくねぇと言われたら
ホントの意味で終わるなぁ…
終わらせたくねぇんだけど。
あーあ……
「音柱様…」
「っおぉ」
びっくりした。
どのくらい経ったんだろうか。
俺も考え込んでしまい
ぼけっとしていたような気がする。
「なんだ」
この生殺し状態から早く抜け出したくて
睦の話の先を急かした。
「…私の、…あの時に来てくれたのは
音柱様で、」
「あぁ…」
話し始めたものの
まだ頭の中は整理し切れていないようで
拙い話し方にこっちが色々汲まなければ
ならないようだ。
「私あの後、淋しくて、
ずっと現実を見られなくて…」
「…そうだな」
ごめんなって謝るのも
何だか悪いような気がしてくる。
俺を許してもらう為に言ってしまいそうで。
「どうしても抜け出せませんでした。
だけど、私を診てくれたお医者様に
私を助けてくれたのが
どういった方たちだったのかを聞いて…」
方、たち?
「鬼殺隊という存在を初めて知ったんです。
鬼なんていうものが本当にいて
世のため人のために
影ながら動いている人たちがたくさんいるって」
その時の気持ちの昂りが
今の睦に反映されているかのようだ。
少し力んだような話し方をしやがる…
あれぇ?
それくらいの時から
俺はすこぉし、違和感を覚えていた。
いやいや、期待すまい。
後から落とされたら
その分ツラくなるだけだ。
そうやって俺が
己を戒めていると
「私も、そうなりたいって思ったんです!」
更に力を入れて
睦が訴える。
「そ、そうか…」
「はい!だからほら、
こうしてここに居ます!」
「そうだな」
「私みたいに悲しむ人がたくさんいるなら
そうならないように
私が頑張ればいいんじゃないかって!」