第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「櫻井起きたらどうしてくれる」
わざと凄んで見せると
「な、なんでそんな所で寝てるんですか!」
「知らねぇよ」
めんどくせぇな。
「何でこんなとこにいる。
とっとと任務に出ろ」
「いいい行きますよ!行く前に
櫻井さんの顔を見に来ただけで」
「見る必要あんのかよ」
絶対ぇ睦に気があるだろ。
「宇髄さんには関係ないでしょっ」
大アリだわ。
「あの…お2人は、…」
言いにくそうに言葉を詰まらせた。
何が言いてぇのかなんて
手に取るようにわかる。
「あぁ?」
だがそれを隠して
わざと低く訊き返した。
「どういった、ご関係で…?」
善逸にしては
随分と気を遣った言葉だ。
うまいこと濁しやがったな。
「お前、櫻井のこと狙ってんのか」
「狙う⁉︎違いますよ、
そんな事ないですからね!」
大袈裟に腕を振りまわし
全否定して見せるから
「あっそ。こいつは俺のだから
手ぇ出したらただじゃ済まさねぇぞ」
「俺のって‼︎俺のって⁉︎」
「黙れ‼︎起きる!」
「アンタの方が大声ですよ!」
「俺はいい。全てはてめぇに責任がある」
俺がそう言い、
善逸が呆れ顔になった時、
睦が小さく身動ぎをした。
ギロリと睨みつけると、
俺からの報復を恐れた善逸が
両手で口を塞ぎ
駆け足で去って行く。
何をしに来たんだあの野郎は。
だいたい、竈門の妹だった筈だろ。
女と見りゃ見境ナシか。
「ん……」
パチパチと瞬きを数回。
日差しに顔をしかめながら
「ごめんなさい…寝ちゃった…」
ゆっくりと身を起こした。
気怠そうに首を傾げ目を擦っている。
その仕草は
確かに男のものとは言い難いかもしれない。
「…なぁ、まだ男のフリすんの?」
何の他意もなく浮かんだ疑問を口にしてみた。
すると睦は
パチクリと両目を見開いて
正面を見据えたまま
「…そうですね。
今更設定変えるのも面倒と言いますか…」
「鬼殺隊は女でも差別されねぇぞ?」
お館様はそんなお方ではない。
力のあるヤツが確実に上へと行ける。