第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
俺は縁側に両手を突いて
足を組み腰掛けていた。
傍らには、用意された緑茶と茶菓子。
茶菓子は後で睦にやろうと決めていた。
それにしてももう昼だ。
休みもせず
根気強く掃き掃除をする睦を
俺はただじっと凝視めていた。
これ、ほんとに訓練なんだよな?
体よく庭の掃除させてるだけじゃ
ねぇんだよなぁ?
そう疑いたくなるような光景だ。
だから、
「睦ー、ちょっと休憩したらどうだ」
片手を挙げて
俺は睦を呼ぶ。
その声にピクリと反応し
こちらをパッと振り返ったその顔は
その言葉を待っていたとばかりに輝いていて
俺は派手に吹き出してしまった。
途端に不思議顔になり
ゆっくりと俺の元に辿り着いた睦は
「なんで笑うんですか?」
俺の隣に腰を下ろしながら問う。
「お前すぐ顔に出るのな。
休憩したきゃしていいんだぞ?」
誰かの許しを得る必要はないのだ。
それをこいつは…。
「えっ!」
睦は驚きの声と同時に
自分の頬をパッとおさえた。
思った事が顔に出る自覚はないらしい…
「真面目も度が過ぎると欠点になりかねないぞ」
「はぁい…」
睦と話す機会が増えて
わかった事が少しある。
とりあえず
この間延びした話し方は
気を許した相手にしかしねぇ事だ。
今のところ俺だけだから
検証のしようがねぇが
俺だけだからこそわかり得る事だと思っている。
俺に叱られたみたいになってしまい
多少落ち込み気味の睦に
茶菓子として出されたものを差し出した。
「ほら、これやるから元気出せ」
睦はそれを両手で受け、
「うわぁあ!いいんですか⁉︎
ありがとうございます!」
きらっきらに目を輝かせる。
…もうひとつ、わかった事。
甘いものに目がないという事。
メシは食わずに甘味で済ませた事もあるそうだ。
栄養失調にでもなったらどうすんだ。
まぁその辺りは、
きっちりしていそうだけど。