第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「睦の話に
『余計な事』なんてねぇんだよー」
「ほら、そんなこと言うからですよ」
「いくらでも聞いてやるよ。
だから全部話せ。
他愛のねぇ小さな事でも全部聞く」
「嬉しいけど…朝までかかっちゃいます」
「それならそれで構わねぇから」
「ほんとに?」
くすくすと笑いを漏らし
可愛く笑う睦…
「…明日も、蝶屋敷行くか?」
「はい…行きます。
始めた事だから、納得いくまでやります」
笑いを引っ込めて、
いい?とでも言いたげな瞳が
俺を見上げてくる。
さっき俺が言ったことを
わかってくれたようだった。
「あぁ、それがいい。
緊急で呼ばれなきゃ俺も一緒に行ける」
俺も、付き合うと言ったからには
時間の許す限り
睦のそばにいてやろうと思う。
「わぁ…どうしよ。
一緒なんてすごく幸せです」
なんて素直なの睦ちゃん。
可愛すぎてびっくりよ。
こりゃまずい。
何でもしてやりたくなっちまう。
「こんなモンじゃねぇから。
これからもっともっとでっけぇ幸せが
お前の所にやってくるぞ」
「ふふ…楽しみだなぁ」
そんなふうに微笑みながら
睦はいろんな話を俺に聞かせた。
俺はうんうんと相槌をうって
睦の話に耳を傾ける。
楽しげで、時に悲しそうになるその声は
ひどく耳に馴染んで
まるで上質な音楽でも聴いているかのような
錯覚に陥った。
窓の向こう、東の空が白んで来る頃。
夢中になって話をしていた睦は
ようやく眠りに落ちた。
それを見届けてから
俺もそっと目を閉じたのだった。
ザッ、ザッと
地面を掃く音が
等間隔で俺の耳に届けられる。
蝶屋敷の奥。
開けた庭のある場所に
俺と睦はいた。
向こうの治療所とは違い
こちらはとても静かで居心地がいい。
昼間という事もあり
賑わうのは治療所の方だけで
ここには今
人は出払っておりいないようだった。