第49章 .☆.｡.:..期待:*・°☆.

勘繰るような目が
真意を確かめるように俺を見る。

「いや…いや！そんなワケねぇ！
誤解すんなよお前！」

「良かった。なら…」

慌てて否定する俺の言葉を聞き
すぐに表情を和らげた。

「もうそんな事は思わないで下さい」

言わないで、ではなく
思わないでと言った。
俺の胸の内は睦にバレている。

口先だけの男だと、
そう思われているワケではない事がわかって
そこはありがたい事だ。

「確かに音柱様の指示で向かった任務です。
だけどケガを負ったのは
単なる私の力不足ですから…。
音柱様の意に沿えなかった私が悪いんです。
だから音柱様にそんなふうに思われると
悲しくなります」

睦は自分の右の掌を開いて俺に向け

「私今この手の事で悲しんでいるので
他の事では悲しみたくないんです」

ちょっと戯けたように笑った。

強い。
強くて、大きい。

睦の事を初めてそう思った。


だって
そんなに涙をそんなに溜めてるくせによ

笑うのか睦

笑うのかよ…


「わかったよ…ありがとな」

睦が置かれている状況に比べたら
俺の考えている事など瑣末な事だ。

俺も、変わらなければならねぇと思った。
こいつの隣にいるには
潔白でいなければ。


そう心に決めて
睦の小さな身体を抱きしめ直した。

しばらくそうしていると
少し違和感を覚えたのか
睦がもぞもぞと動き始める。

「音柱様、あの…」

「んー？」

少しできた隙間を埋めるため
再び腕に力を込めると、

「そろそろお風呂…
入らないと冷めてしまいますから」

居心地が悪そうに俯いてしまう。

「…まだこうしてたいのよね、俺としては」

「それは、私もですけど、」

「ならいいだろ」

「だめです…これ以上してると
ほんとに離れたくなくなっちゃうので
先に行ってきて下さい」

睦の言ってる事はよくわかる。
だが、

「…離れたくねぇな」

それが本音だ。
その証拠に
この腕が睦を離そうとしない。