第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
どうすればいいかわからなくもなるよな。
「胡蝶の言葉が全部じゃねぇよ。
あいつ個人の見解だ。
まだ希望はあるかもしれねぇだろ?」
「…気休めですか?」
怒ったような声。
それでも俺に抱きついて涙を零した。
「違う、本心だ。出来る事をすれば
もしかしたらどうにかなるかもしれねぇ。
ただ、やっぱり治らねぇって事だって
充分あり得る」
ぽんぽんと背中を優しく叩くと
睦の肩に手をかけ
身体を起こさせる。
だらりと項垂れているのは
もしかしたら泣き顔を隠すためかもしれない。
それを下から覗き込むと
逸らすでもなく素直に目を合わせ、
「結果がどうあれ、自分の思うように…
好きなようにしてもいいと思うんだ。
むしろそうしねぇと
睦だって納得行かねぇだろ?」
ぐっと唇を嚙み締めて
小さく頷いてくれた。
「やるだけやって、それでもだめなら仕方ねぇ。
やらずに終わってよぉ、
あん時やってりゃ治ってたのかも…
なんて考えるよりずっといい。
必要だったら俺も手伝うから。
睦が納得いくまで付き合うからな」
「……」
次々に落ちていく涙。
そんなものには構わずに
睦はジッと俺の目を凝視める。
「ん?」
泣いている顔もまた可愛い。
申し訳ない事につい笑いが漏れてしまう程に。
頬を伝うものを指先で拭ってやると
「音柱様も…一緒に…?」
心なしか嬉しそうな声が俺の耳に届いた。
そのまま、笑ってくれたらいい。
そう思っていた。
「あぁ、できる限りそばにいて
やれる事は一緒にしような」
それが俺に出来る
せめてもの罪滅ぼしだ。
「…嬉しい…ありがとうございます」
まだ目にいっぱい涙を溜めながら
にっこりと、綺麗に微笑んで見せた。
俺はつい見惚れ
睦はそれに気づいてまた笑う。
こいつには
敵わない気がする
「俺が向かわせた任務だ。
俺にだって責任はある…」
「…音柱様」
さっきの微笑みから一転
神妙な面持ちで俺を呼ぶ。
「なんだ」
「もしかして、
罪悪感で私と一緒にいてくれてます?」