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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.





頭に浮かぶのは
胡蝶の白々しい笑顔だ。


睦の様子を報告した際、
胡蝶は手の事を俺に話した。
日常生活に問題のない程度には回復しても
刀を振るうのは見込めないと言われた。
俺から伝えろという話だったのに。

どういう事?
あの女…

まぁ、二の足を踏んでいたのは確か。
俺の迷いが出たのを
胡蝶が察しただけの話だろう。

「音柱様から、聞きたかったなぁ…」

目元を肩に押し付けて
震える声で訴えた。

「ごめんな…弱ぇ俺を、許してくれよ」

睦はズズッと鼻をすすり

「うん…私を思っての事でしょう?」

確証を得るために
睦は小さく俺に問う。

「お前の事を思うなら
とっとと話してやるべきだったよな。
睦が泣くのを思い浮かべたら…
うまく言えなかった。ごめんな」

今更何を言っても言い訳でしかない。
情けねぇ限りだ。
なのに睦は

「いいんです。もし立場が逆だったとして…
私もきっと、なかなか言い出せないと思うから」

あっさりと俺を許した。
それがまた、この胸を切なくさせる。

後悔するってわかっていて
どうしてちゃんとしてやらなかったのか。
結局こうして泣かせる事になるのに。

「ごめん…」

自分を許し切れず謝罪を重ねる俺に
ぎゅうっとしがみついた。

「違います、それはもういいの、」

泣く直前の震える声が
俺の罪悪感を募らせる。
なのに睦は違うと言った。
もういい、と。

「私は、この先どうすればいいですか…?」

その言葉を言った途端に思いが溢れたのか
俺の肩を涙で濡らした。


両親を失って以来
自分を押し殺してまで
鬼の滅尽に力を注いで来た。

その睦が刀を握れなくなるという事は
自分の人生の
半分を失くしたようなものかもしれない。

大切に抱えていたものを
突然取り上げられて、
更に進む道まで絶たれてしまった
迷子のようなもの…



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