第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「え…風呂?」
「はい…あれ?任務の後って入りませんか?」
「いや、そうじゃなくてよ…」
「え、何が?」
だんだんと
会話がワケのわからないモノになってきた。
「お前はよ、」
「私が?」
「だから風呂入ったのかって」
「入りました。…あ!」
睦は何かに気がついたように
大きな声を上げて
両手で俺の頬を包んだ。
「大丈夫です!
ちゃんとお湯は替えてありますから」
「そこじゃねぇよ」
なんだコイツは。
「え…替えた?」
「はい」
「わざわざ」
「当然です!音柱様には1番湯でないと。
私の後なんかに入らせらせません」
頬にある睦の手をそれぞれ掴み
「無理をすんじゃねぇよ無理を」
きゅっと握って右手を労う。
「訓練です」
にっこりと笑う睦に
胸の真ん中がずきりと痛んだ。
訓練…か。
俺の顔を見て睦が
くすくす笑った。
何事かと顔を眺めると
スッと笑いを引っ込め
「そんな顔しないで…」
優しく微笑む程度に収める。
「睦…」
「訓練なんて意味ないのにって、思ってます?」
「そん、な事ねぇけど、」
「わかってます。大丈夫です…
もう、治らないんですよね?」
「お前…気づいてたのか?」
睦は困ったような笑みを浮かべ
再び俺の頭を抱きしめた。
「ちょっと前に…
蟲柱様の所に行った時に訊いたんです。
この手は治るのかって思ったから」
その時の事を思い出したのか
しがみつくような抱きしめ方をする。
求められているような気がして
背中に回していた腕を伸ばし
ぐいっと頭を引き寄せた。
座り込んでいた身体を起こし
膝をついて座り直すと
睦の額を自分の肩に押し当ててやる。
その格好が落ち着くようで
力を抜きもたれ掛かる睦。
「そしたら、
もう難しいかもしれないって言われました。
音柱様にはお話してあったのに
聞いていないのですか、とも言われました…」
「あのアマ…」