第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
あ、いけない…
勘違いさせちゃったかもしれない。
男の子のフリしてるのに
あんなこと言ってしまった…
と、懸念したのは
「嬉しいわぁ!
弥彦くんったらなんて可愛いの!
私もだぁいすきよぉ‼︎」
私の杞憂に終わったようだ。
ありがたいことに
私はかなり、
恋柱様に可愛がられているみたい。
強く抱きつかれた勢いで
私は縁側の硬い板の間に転がってしまう。
…押し倒された。
やはり力が強い…いや、今の私には、
恋柱様を支えるだけの力すら無いのだ。
あれ…待てよ?
確かに私は非力だけど
毎日鍛錬してる。
いくらなんでも、
人ひとり支えられないなんて
おかしいんじゃないだろうか…
試しに
私に乗っかっている恋柱様の身体を
少しだけ押してみる。
しかし驚く事に…びくともしない。
でも、彼女の上腕に触れて、
その理由が理解できた気がした。
ものすごく硬いのだ。
女性らしく柔らかいイメージなのに…
しかも仕上げてもいないのに
この硬さ…
見た目によらない、ってヤツ?
細く見えて、めちゃくちゃ詰まってるのだ、
筋肉が…。
そりゃあれだけ食べるわ。
私と違っていて当然だ。
恋柱様は食べるから強いのではない。
食べなくてはいられないのだ。
きっとこうしている間にも
ものすごいエネルギーを消費している事だろう…
それにしても…
恋柱様、こんな事をしていていいのだろうか。
一応、私は男という事になっているんだけど。
この人が惚れっぽいのは知っているし
すぐにときめいてしまうのも知っている。
でもコレはいかがなものだろうか…?
男のフリをしてはいるものの、
私の身長は恋柱様よりも低い。
この顔も、
女の子っぽい男の子だという認識だろうし
『弟』的存在なんだろう。
でもそれに救われた。
おかしな雰囲気にならなくてよかった…。
他のどの柱にいじめられたとしても
恋柱様とだけは
このままの関係でいたいのだ。
最悪、恋柱様にだけは
私が女である事をバラしてもいい……
「……おい」
………