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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.





「恋柱様、せっかくのお着物です。
髪型もいつもと変えてみませんか?」

母が生きていた頃、
私も色んな髪型にしてもらった。
自分でもやってみたくて
たくさん練習したものだ。

「え⁉︎櫻井くんがやってくれるの?」

「はい!私には……い、妹がおりまして、
よく髪を結ってあげていたのです。
せっかくお可愛らしいのです、
お嬢様結びなどいかがでしょう?」

私は怪しまれないよう、
咄嗟に下手くそなウソをついた。
それを疑いもせずに恋柱様は
私をキラキラした瞳で凝視めてくる。

そのまま頷いてくれないかなぁ。
この綺麗な髪を結ってみたい。
私は両手がうずうずし始めていた。
でも何より、
恋柱様に喜んでもらいたいんだ。

「素敵!じゃあお願いしちゃおうかな!
あ…でも私、すごーく髪の量が多いのよ…?」

心配そうに眉を下げる恋柱様。
この人はどんな顔をしていても可愛らしい。

「お任せ下さい。私の手にかかれば
どんな髪型でもちょちょいのちょい、ですよ!」

私の戯けた台詞に、
恋柱様はにっこりと笑ってくれた。




蟲柱様にお借りして来た漆の櫛。
日差しいっぱいの縁側で
私は恋柱様の背に回り髪を梳かしていた。

美しい桜色。
可愛い恋柱様にぴったりだ。

「どちらにお出掛けなんですか?」

「ある人とご飯を食べに行くのっ」

えへへと笑うその頬は、
背後から見ても少し染まっているようだった。

想い人でもいらっしゃるのかなと、
ぼんやりと考える…

鬼殺隊の柱として
凛々しく刀を振るう身であっても
隊服を脱げばただの女の子。
悩みもあるだろうし、恋もするだろう。

私には、訪れる事のない未来だな…。

「…櫻井くん?」

「はいっ…ごめんなさい、ボーッとして…」

言葉だけでなく、手まで止まっていた事に気づき
慌てて髪結いを再開させた。

「やっぱりやりにくいかしら?」

心配そうに私を振り返ろうとする恋柱様。

「だめですよ、動いたら。
せっかく綺麗にできそうなのに
乱れてしまいます」



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