第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
……
「お前…」
私?
なんで私?
なにもしてないけど。
いや、
むしろ功績を残したはずだけど。
声をかけられたのが
あまりに唐突で
返事をするのも忘れた。
それも気に食わなかったに違いない。
「この俺様にガンつけるとはいい度胸だな」
眼をつける、とな…。
「悪意はありません。ですが
お気を悪くされたのであれば謝ります」
私は手をついて
そのまま身体を折り頭を下げて謝った。
そうして顔を上げると、
「…」
なんとも居心地の悪そうな音柱様が
口元を歪めている。
つまらねぇヤツ、
もしくは
地味なヤツ、
そう思われたに違いない。
説教の勢いが削がれたようだ。
……これはいい。
「音柱様、ひとつ
お伺いしてもよろしいでしょうか」
「んぁ?」
「お許し頂けますか」
「あぁ、言ってみな」
「ありがとうございます」
私はお許しを得て、居住まいを直した。
どんな答えを返してくれるのか楽しみにし過ぎて
笑ってしまいそうな頬を
きゅっと引き締めて…。
「普段ごはんは、
いかほどお召し上がりになられますか?」
「………?」
「「…っ…⁉︎」」
目の前に立っている音柱様のみならず、
私の横1列に並んで正座中の隊士2人までもが
こちらに顔を向け呆けている。
3人に共通しているのは、
なんで今それを訊くの?
という雰囲気だ。
音柱様はしきりに首を傾げていたし、
2人の隊士は、
お前はバカなのかとでも言いたげに
慌てふためいていた。
ムッとして2人の方を向くと
自分たちまでとばっちり食らうだろと
声も無く訴えて来る。
…何を言うのやら。
もともと、とばっちりを受けたのは
私の方なのだ。
音柱様の登場に緊張を極め
普段の力の半分も出せなかった筈だろうに。
知らんぷりを決め込むと
それまで悩ましげにしていた音柱様が
「それはぁ……」
顎に手を充てたまま唸った。