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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第10章 知己朋友【ちきほうゆう】




「ありがとうございますぅ!」

次々にこぼれる涙を見て
私は大いに慌てた。

「す、須磨さん!泣かないで…」

こんな時どうすればいいかわからない…
無い頭をしぼった私は、
須磨さんをぎゅっと抱きしめた。
私はこうしてもらうと安心するから…。

「睦さぁん、ダメな私に…
あり、がとうございますぅ…」

「須磨さんはダメなんかじゃないです!
とっても素敵な女性ですよ!
いっつも私を助けてくれるもの」

「へへ、嬉しいです」

泣きながら笑う須磨さんが
何だかとっても愛しくて…
私たちは顔を見合わせて笑った。




須磨さんが、屋敷に戻りにくいと言うので
(まきをさんが怒ってるから)、
私も一緒に行く事にした。

まだ午後の2時半だ。
須磨さんを送ってから帰ったとしても、
まだまだ時間は残る。

すっかり仲良しになった私たちは、
つないだ手を大きく振って、
子どものように歩いた。
泣き止んだ須磨さんは終始にっこにこ。
よかったよかった。

「あ、煉獄様!」

須磨さんはご機嫌なまま大声を出した。
ぱっと前方を見ると、須磨さんの言った通り
煉獄さんが立っていた。
雑貨屋の店先に立ち、
何かを物色しているようだった。

元気に呼ばれて、
にこりとお日様のような笑顔がこちらを向いた。

「こんにちは!
煉獄様もお買い物されるんですか?」

無邪気に質問する須磨さんに
朗らかに笑う煉獄さん。

「俺にも欲しいものはある。
宇髄は買い物をしないのか?」

…あれ?今日は穏やかな喋り方…。

「…します。…でも天元様のは見慣れているので…」

「なら俺も許されるだろう?」

「え、許されるだなんてとんでもないです!
申し訳ありません。
煉獄様のお買い物姿、初めてだったので
驚いてしまいまして…」

須磨さんはつないだ手に力を込めて、
私の腕に顔を隠していく。
そこで、私に気づいた煉獄さんは

「…君は」

私を見て少し驚いたようだった。

「昨日はありがとうございました」

頭を下げると

「あの後はちゃんと帰る事が出来たか?」

にこりと微笑まれる。



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