第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
そして、
「自分がツラい目に遭ってきたんだ。
共感してやれるし
なかなか良いと思うがなぁ…」
なんだか嬉しくなるような事を言ってくれる。
「ありがと…。でも私
やっぱり先生がいいや」
「いいや、って…」
「そんな簡単にって思う?」
「いや…うーん…、いや?そういうのは
勢いってとこもあるしな。
お前ならやり遂げるだろうし…」
「これでも割とちゃんと考えたんだよ?」
「わかってるよ、
俺に話すくらいだから本気なんだろ」
先生はちょっと考えてから、
「一年働くってのは何でだ?」
「学費…」
「あぁ、そうだろうなぁ…」
わかってた、のニュアンスで先生はつぶやいた。
「お前の頭なら大学の試験くらい
一発でクリアすんだろうなぁ…」
「そうかな…」
「あぁ、成績優秀だもんな」
「余計なこと考えないためだったんだけど…
でも勉強してて良かったかも…」
こんな事になっても対応できる。
かなり助かってる気がする…
「ちなみに、何の教科?」
「え、そこまではまだ…」
「ユルイなぁ。
やるなら完璧にとっとと決めなきゃ」
先生は呆れたように言い放つ。
そんなものなの?
自分の将来なんてまったく考えた事のない私は
先生に言われた事に思考を巡らせた。
「教科によって試験も違う?」
「…そりゃそうだろ」
だよね。
「その前に大学探さねぇと」
………
「…今めんどくせぇとか思ったろ」
「おもってなーい!」
「わかりやすー」
「…だってぇ、途方もないよ…」
「大丈夫だよ。みんなやってる事だ」
「そうだけどー…」
…
「お前はそういう所が弱いんだな」
先生は私の顔にかかった髪を掻き上げながら
優しく笑う。
「どういう所?」
「答えが見えてる問題にしか対応できねぇ」
「答え…」
「勉強は出来るかもしれねぇが、
それ以外は苦手…っていうか
からっきしだよな」
先生の言う事は大正解だ。
自分の将来ですら自分で決める事が出来ない。
考えた所で何も出てこないのだ。
結果を見つけられても
その経過をどうすればいいかなんて
見当もつかない。