第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
あの時、先生のお手伝いをさせてもらって
こんなのもいいなって思ったけれど
ただそれだけで進路を決めるなんて
安易だっただろうか…
だけど割と本気だったのだ。
あの空間が、心地よくて……
あの空間…?
美術準備室で、次の授業の準備をした…
先生のお手伝いを…
した…。
あれ、もしかして私
勘違いしてたんじゃないかな。
「睦?」
「んー…?」
「どうした」
いや、だめだ。
たった今伝えたばかりの将来の道。
それが単なる勘違いだったかもしれないなんて
そんな事を言えるはずもない。
先生になりたいんじゃなくて、
先生といたから楽しかったのかもなんて。
だめだ、やっぱりよくわからないや。
わからないわからなあーい!
「先生!私がんばる!」
「はぁ?…あぁ、…そうか、」
首をひねりながらも頷いてくれた。
そうだ。
本当に教師になるにしても
先生のそばにいられる事に変わりはない。
まだ少しだけ猶予はある。
ちゃんと考えれば見えてくるはずだもの。
がんばって考えなくちゃ…!
「…何をがんばろうとしてんのかわかんねぇけど
お前やり出すと止まらなくなるから
ほどほどにしとけよ。
焦る必要もねぇんだし」
「先生は…」
「おー」
「優しいなぁ…」
「おー…」
「なにもしたくなくなる…」
心地いい体温を求めて
強く抱きついて先生にうずまった。
「睦でもそんなこと思うのか…」
感心したような言い方をして
先生は私に応えるように強く抱きしめてくれる。
「思うよ…失敗した時は特に…
楽な方に逃げ出したくなるもん」
今までは『楽な方』は学校だった。
でももうその学校にもいられなくなった。
…という事は、私にはもう先生しかないのだ。
「なんか失敗したのか?」
「したじゃん、大きな…かん、…」
かんちがい……
これは、言っちゃダメなヤツだった…!