第48章 .☆.｡.:..卒業*・°☆.

「どーでもいートコは鋭いよな」

「やっぱり、そうなんだ…」

じゃあこれは、
もともとはナギリのものってこと？

…へこむ。

落ち込んだ心をどうにもできなくて、
私は先生の下に敷かれながらも
上半身をくるりと返した。

「睦ー、」

私の行動を見て
先生は明らかに喜んでいた。
伝わる空気でそれがわかって、
…頭に来た。

「ヤキモチ？…可愛いの」

耳の裏側にキスまで落として
ふわふわ笑っている先生が煩わしくて
私はそれを腕で押しやる。

「なんでヤキモチなの」

「だってお前、百鬼のこと目の敵にしてんだろ。
昔俺と暮らしてたからー？」

声が笑ってる。
何でこんなにイライラするんだろ。

「そんなのしてないし。
先生が何してようが私には関係ないもん」

「関係ねぇの？」

「ない！」

「そうは見えねぇけどなぁ…」

「見えなくてもそうなの。
もういいでしょ、」

更に擦り寄って来ようとする先生を
強く押しやって避けると

「よくねぇよ。
せっかく手に入れた女がご機嫌ナナメなんだ。
機嫌直るまで相手してやる義務が俺にはある」

それを上回る力で
私を抱き込もうとする。

「そんな義務ない！ほっといてったら」

「だって百鬼に妬いてんだろ？
そんな必要ねぇって教えてやらねぇと…」

「うるさいな！ナギリナギリって！
そんな名前聞きたくないし…！」

「………」

あーあ、
こんなこと言っちゃったらさ
拗らせちゃうだけじゃん。
ばっ、かじゃないの……

「お前マジか、」

終始嬉しそうな先生。
激しく違和感を覚える。

なんで先生は嬉しそうなの？
私はこんなにイライラするのに。
こんな私をからかって楽しんでるの？

私だけ、こんな気持ちでいるの…

いやだな…

「おい、」

さっきの嬉しそうな声は一転、
ひどく硬いものに変わった。

「なに」

顔面をベッドに押し付けて、
それでもちゃんと返事をしてみる。

何でもないフリを
決め込みたかったんだ。