第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
「他の人とは全然違うね…」
「…ん?」
「私なんかの、…」
……
「…なんだ?」
不思議そうに覗き込まれるけれど、
その続きを口にできなくなった。
私なんかのどこがいいの?
そう訊きかけて、悲しくなったから。
だって、
私のいい所ってどこ?
…無いような気がする。
だから悲しくなった。
いい所がないって、
自分で思っている私が悲しい。
先生は小さいため息と共に微笑んだ。
それがひどく優しく見えて
私は泣きそうになった。
「しょうがねぇヤツ。
訊くなら仕舞いまで、ちゃんと訊け。
自分の言葉で傷ついてんじゃねぇよ」
「…なんでそうやってすぐわかっちゃうの」
わからなくていい事まで
全部わかるよね。
「睦の事だからだよ」
前髪で遊んでいた私の手を取って
指先にキスをする。
パクッと咥えられて
咄嗟に引き抜いた。
すると恨めしそうに睨んで
「そうやって、俺から離れようとする所」
私を射抜く。
「えぇ…?」
「お前のどこが好きかってんだろ?
俺に頼ろうとしねぇとこだよ」
「…おかしいでしょ…
そんなわけないでしょ?」
頼ろうとしない所が好き?
そんな事あるだろうか…
「普通…自分を頼ってくれて
嬉しいって思うものじゃない?」
差し伸べた手をはたき落とされて、
どうしたら好きになれるのか
まったくわからなかった。
「俺、普通じゃねぇんだよ」
「……へぇ、」
「俺のこと頼らねぇとか何様だと思うワケ。
それなりにモテる俺様の手ェ振り払うとか
あり得ねぇだろ」
「……」
言葉もないわ。
「おい、…冗談だし」
「えー…」
半分本気のくせに。
「そんな目ぇすんなよ。
そうじゃなくて…」
こつんと額をぶつけて
先生は軽く目を伏せた。
「睦は1人で立とうとするだろ。
この手を掴めば楽になるのに
そうしようとしなかった。
それがすげぇ気になって…」