第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
「だって…あんまりそんな人に見えないから」
「そうかもなぁ…
ていうか、そうだったんだけどな…」
ぼんやりと自分を振り返り、
先生はふと、私と目を合わせた。
「睦相手にすると、
今まで通りになんか行かねぇってコトよ」
「それはー……」
言いかけて、やめた。
自分で言うのもどうなんだろうと思ったから。
「なに、言わせたいワケ?」
ニッと笑う先生。
決してそんなつもりじゃなかったのに、
「睦だけは特別ってことだよ」
勝手な解釈をして
先生は答えを突きつける。
だけどそれは、私も同じ。
先生は他の誰とも違って、
…私の中で特別な存在なのだから。
「睦と同じだと嬉しいんだけど?」
「ん…私も、」
……
「……わかったわかった。
ちゃんと伝わってる、ありがとな…」
最後まで伝えられなかった私を、
全力で甘やかしてくれる。
こんな事を
私が言ってもいいのかという戸惑いと、
ちゃんと言えなかった悔しさがないまぜで
…
なのに先生は、
こんな半端な私にお礼まで言ってくれて
ありがたいような申し訳ないような…
「睦…」
私の名前を呼ぶ声が、別人みたい。
先生はきっと、なんにも変わっていないのに
私の中で先生という存在が
確実に別のものへと変化した…
「俺は、怖くなかった…?」
「うん…」
「そっか。なんか、今不安な事あるか?」
不安な事かぁ……
「先生が、」
「え?俺が?」
先生が想像していた事と違ったのか、
少し驚いて見せる。
そんなにびっくりされると
続きを言いにくくなるけれど、
そうすると無理やりにでも
聞き出そうとしてくるのを知っている私は
敢えて引っ込めずに
最後まで話してしまうことに決めた。
「…別の女の子を好きになるの」
「……あぁ…?」
先生の表情が固まってしまう瞬間を目撃して
つい笑ってしまいそうになった私は
慌てて頬を引き締める。
ちょっと、可愛い、
とか思ってしまった事は内緒…