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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.












「睦、明日も学校来るのか?」

ハンバーグをひと口頬張って
先生は私に訊いた。

ボディソープの香りがほのかに香る中、
無事作り終えた煮込みハンバーグと
野菜スープ、カリカリに焼いたバゲットは
どんどん先生のお腹に収まっていく。

「うん、行く…」

もくもくと咀嚼する先生。

「…だめ?」

なんとなく、
来るなのニュアンスだったような気がして。

「いや。ダメなワケねぇだろ」

「そう…?じゃ行く」

自由登校は明後日まで。
その次は全員登校日だ。

だけど私は先生にお弁当を届けたくて
毎日登校していた。
教室には行かず、
ずっと美術準備室に隠れているのだ。

だから先生は
他の生徒を入れずにいてくれた。
故に授業の準備のお手伝いは私がしている。
なんだか貴重な体験をさせてもらって
今更、学校に行くのが楽しくなっていた。

「もし、弁当のためだけなんだったら
無理することねぇんだぞ?」

だから、
先生のそんな台詞に
結構なショックを受けた…

「無理してないよ」

「そうか?」

先生はお皿を受けてバゲットをひとかじり。


今日の先生は、この間の私みたい。
ちらりとも私と目を合わせない。

さっき感じた違和感はこれだ。

何かあったのかな。
私みたいに、
触れられたくない何かがあるのかも。

あの時、先生もこんな気持ちだった?
すごく淋しいものなんだね。
私はいつも、自分のことでいっぱいいっぱい。
先生の気持ちを考えてあげられない。

あの時だって、
先生にちゃんと伝えもせずに
頭の中でぐるぐる考えているだけだった。
先生に抱かれるのが怖いですって
言い出せないまま。

「先生、ごめんね…」

「は?」

「あ…」

何が?

先生が帰宅してから初めて会った目が、
そう言っている。

心の声が口から出てしまった。

「ううん、何でもないの。ただ、…」

ただ?
なんて言うつもり?

………

「お弁当、持っていくの迷惑かなぁ?
ずっと準備室にいさせてもらうのも、
もしかして邪魔だったりする?」

うまい材料が見つかった。

この流れであれば、
準備室に無理やり押しかけるのを謝る体なら
不自然ではないはずだ。


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