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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.






「ちょっとごめん」

纐纈くんはそう前置きをしてから
私の襟を掴み、少し引っ張って隙間を作った。

チェーンを奥に落とし込まれた感覚だ。

「これなら見えないと思う」

スッと手を離して親指を立てて見せる。
その仕種がなんだか憎めなくて、
私とした事が笑ってしまった。

「…ありがとう」

「いえいえ。まぁもう、
あの鬼の生活指導も3年生には
何も言わないだろうけどね」

卒業を間近に控えた私たち。
自由登校となった3年生にくらい
目をつぶってくれるのかもしれないな。

…じゃ指にしても構わないかな。
さすがに、そこまで大っぴらにしていたら
指導されるだろうか。
でも最近、指につけたいなぁって
ちょっと思ったりするんだ…。

みんなに見せつけたいじゃないけど…
だって嬉しくて。
こんな私にも
大切な人ができた事が嬉しいんだ。

「櫻井さんが
アクセサリーしてくるなんて思わなかった」

「…どういう意味?」

また失礼なこと言い出すんじゃないだろうな。
こいつなら言い出しかねない。

だけど、

「いやぁ、櫻井さんはいつも
きっちりしてるからさ。
オンオフはっきりしてるんだろうなって
勝手に思ってたんだ」

私の懸念とは裏腹に
彼は真面目な事を言った。

「目立たないようにしてたよね?」

…その通りです。
割とちゃんと周りを見てる人なんだな…

「…うん…だけど、」

出来るだけ目立たず、
おとなしくしてた。
先生に目をつけられないように
髪も染めず化粧もせず、
スカートの丈も制服の着方も
全部基本通りにしていたよ。

そんな私が、

「これだけは、ずっと身につけてたかったんだ」

そう思ったの。

ずっとそばにいてくれるような気がしたから。
私のお守りみたいになっていたの。
これをもらってから、もう1か月弱。
その間、何かあるごとに、
この指輪をさわるのがクセになっていた。



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