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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.





起きたら、避けられる予感も拭えない。
でも、逃げてなんかいられねぇんだ。

睦を好きな気持ちは
もう止められないのだから、
前を向くしかない。

おはよ、の意味を込めて、
親指の腹で頬をくすぐってやると
眉間に深いシワを刻んで
やめろと言うように俺の指をぎゅっと握る。

握られた親指をそっと揺すってみると
振り解かれまいと力を込めて、…
ふと、瞼を薄く開けた。

自分の握りしめたものをぼんやりと凝視め、
それが俺の手だと認めたようで
ぐっと自分の頬に引き寄せ、そこに乗せる。

俺の手の甲に掌を充て、頬と挟むようにして
睦は満足したのかフッと破顔した。

随分とご満悦の様子。
寝起きの睦は激しく可愛いな…

「睦、…はよ」

柔らかい頬を、ふにふにと軽く揉む。

「んー…おぁよー…」

話し始めのガタガタの声。
呂律の回らない話し方。
力の入らないふにゃふにゃの睦は
全身全霊で俺を頼っていて
果てしなく愛しい。

「寝坊しちまったよー…」

「んー…」

「何時に寝たのー?」

掌に吸い付く柔らかい頬を堪能しながら
ボケボケの睦に訊いてみた。

「わかんない…」

「ホントに?」

「んん…ごじ…」

「5時?」

わかんなくねぇじゃん。
呆れたヤツだ。

「なんでそんな遅ぇの」

「ごめんなさい…」

あぁ、そういう事か。
俺に怒られると思って言わなかったんだな。
…ガキじゃねぇんだからそんな事いいのに。

「怒ってんじゃねぇの。
そんな遅くまでカード書いてたのかって」

声色から、
怒っているワケじゃない事を感じ取り
ふわふわと笑った睦。
でもすぐに悲しげに目を伏せて、

「へやに、ひとりで…」

「ん…?」

いつもの、支離滅裂が始まった。
俺は睦のコレが好きだ。

本人は一生懸命話しているのに、
いまひとつ何言ってるかわからねぇのが
可愛くてしょうがない。



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