第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
焦ることねぇよって
ずっと言って来たつもりなんだがなぁ…
外で働けなんて、
俺はこれっぽっちも思っていないのだ。
この部屋ん中にいて
なーんにもせずに過ごしてりゃ
それでいいとすら思ってるのに。
いくら言ってもわかってもらえねぇ。
俺の言った事のウラをかく。
なら俺は、
これ以上どうすりゃいいんだろうなぁ…?
…
いやいや、だから弱気になってる場合かって。
生きてきた環境がそうさせているのなら、
俺が変えてやればいいだけの事だ。
そうだよ、
そうしてる途中じゃねぇか。
睦に引きずられてんじゃねぇよ、
俺が焦ったらオワリだ。
オワリなのよ…
俺は広いベッドにどさっと身を投げ出した。
…ここに、
この腕の中にさ
あの小せぇのが欲しいなぁ…
情けねぇことに
もう、アレがなきゃ
俺の方がいられねぇのよ。
抱きしめて朝を迎えるのは、
うまく眠れない
あいつのためだったはずなのに…
深い眠りから引き上げられたのは
この寝苦しさのせいだった。
重たい瞼を押し開くと
カーテンの隙間からは
小さく朝日が漏れていた。
枕元の時計を確認しようとして…
うまく動けないことに気がつく。
ふと見下ろすと
仰向けになっていた俺の上で
うつ伏せになった睦が眠っていた。
………なんで上に乗るかな。
フツー隣に付けるだろ。
「…ヘンなヤツ」
つい漏らした笑い。
誘いもしないのに、
こうやってくっついてくる睦が
ひどく愛しくて、
心地良さそうに眠る身体をそっと抱きしめた。
眠っていながらもそれを感じ取ったのか
頬を俺の胸にきゅっと擦り付け
抱きつき直す。
…気持ちよさそうだな。
昨夜、何時に寝たんだろう、
いつ来たか全然気づかなかった。
外からの光が強くなったような気がして
枕の横に置いたはずのスマホを
手探りで探した。
画面をタップすると、
表示されたのは『7:46』…
寝坊した。
顔にかかる長い髪をよけ、後頭部へ流す。
もう起きてもいい時間だ。