第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
考えすぎだ。
そう思おうとすればするほど、
考え込んじまってどうにもならなくなる。
俺がこんなふうにちまちま考えていても
埒があかねぇのはわかってる。
ただ、隠したそうにしている睦に
無理やり聞き出すなんて事は出来なかった。
一体、夜寝られねぇのは
どういうワケなんだろうなぁ…
ちなみに卒業した後の生活についても、
特に言及した事はないが
保証していくつもりだ。
睦は、学校に在籍している間だけだと
勝手に思っていた時期もあったようだが、
俺が睦に惚れた時点で
もう手放したりするはずがない。
気泡の浮いて来た生地を裏返すと
ベストなキツネ色。
やっぱり俺は何をさせても天才だ。
睦はやはり起きてこない。
昨夜、起きなければ起こせと俺に言った。
あの時すでに1時過ぎ。
頭ごなしに寝かしつけるよりも
自然に寝入るように仕向けたが、
結局は遅くなってしまった。
只今、午前6時50分。
本人の希望通り、そろそろ起こしてやるべきか。
そう思った時
ベッドルームのドアが
カチャリと静かに開いて
寝ぼけた様子の睦が
目をこすりながらペタペタと現れた。
またスリッパも履かないで…
こいつはどれだけ冷たくなろうが
スリッパや靴下を履かない。
いつも素足でいるのだ。
理由はよくわからない…。
「睦、おはよ」
ドアを出た所で立ち止まっていた睦は
俺の声を聴き、ふわりとこちらを向いた。
伏し目がちにしたまま
ゆるゆると動き出した睦は
俺の目の前まで来ると
なんの脈絡もなく
いきなりぎゅっと抱きついて来る。
…本格的に寝ぼけている…?
腰に両腕を抱きつかせ
胸元に頬を押し当てて
ぎゅっと目を閉じおとなしくしている様は、
さながら夢の中だ。
「…自分で起きたのか、えらかったな」
起きられないだろうと踏んでいたが
まさかの登場にすこし驚いていた。
よしよしと髪をさすってやると
少しだけ心地良さそうにして
きゅっと口角を上げてみせる。
…可愛いなこの小動物は。