第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
有る事無い事テキトーに
その場に合わせて軽く受け流して来た私が、
先生の前ではそれがまるで出来ない。
何でか、なんて…わかりきっていた。
私が先生のことを、本当に好きだからだ。
それが、…すごく嫌…。
いや、先生を好きな事自体が嫌なんじゃなく
自分が自分ぽくない所が嫌だ。
「…まぁ…睦が元気なら
俺はそれだけでいい」
私の首の下に腕枕。
もう一方の腕は腰の上に回された。
そろそろ寝よう、の合図…。
…寝ちゃうんだ。
少しだけ淋しく思ってしまった。
もう少しだけ、話していたかったな…
だけど、もう時間も時間だ。
本当に寝坊してしまいそうだし、
映画に行かないわけにもいかないし…
だってもう、お支払い済みだし。
「先生…」
既に寝る体勢に入っていた先生は
「んー?」
目も開けずに返事をした。
「明日…もし起きなかったら、起こしてね?」
「アラームで起きなきゃ寝てればいい」
「いやだ。焼きたてのホットケーキが食べたい」
私はホットケーキを理由にした。
映画の料金の話をしたら
そんなのいいって絶対に言うから。
なのに、
「そっか…。
…相変わらずウソがヘタだな睦」
やっぱりバレるんだよ!
「なんでウソだと思うの⁉︎もうさぁ、
鋭いにも程があるでしょ、何なのもう!」
私がキレると、
先生はぱちりと目を開けて
「…ナメられたモンだ」
呆れたように私を見下ろした。
いいえ、ナメたつもりはありません!
「お前はさぁ、俺がどれだけ敏感に
睦のこと見てるか知らねぇんだよ」
「……どゆ、こと?」
「そういう事だ。
俺はいい加減だって決め込んでるだろ。
でも洞察力には自信あんの。
お前のつくウソくらいすぐに見抜く」
「ウソじゃないもん!
ほんとに焼き立て食べたいのに!」
「でもそれだけじゃねぇんだろ?」
「映画も観たい!ウソじゃない!」
「……そうだな、」
フッと目を細めて笑う先生…
なにこれ。
私がてんで子どもみたいじゃん。
いや。実際そうなんだろうけど。