第47章 .☆.。.:..渾然:*・°☆.
「心配くらいさせろっての。
俺の前でがんばったりするからだ。
俺のためにしてくれたのは嬉しいけど
隠すなって何度も言ってるだろ。
泣きたいならいくらでも付き合ってやるから。
ンなすぐに平気になるワケがねぇの、
わかってんだよ」
「うぅー…」
「おー、こんなすぐに泣けんのかー」
「余計なこと言いますよー…」
ひっくとしゃくり上げながら
私は訴えた。
「睦の言うことに余計なんてねぇの」
「またそんなこと言って…」
「いいから。何だって?」
「お父さんにすっごく会いたい…」
言ったらいけない事だよね。
何でかわからないけれどそう思っていた。
その割には、
あまりにもすんなり口をついた言葉。
「そうだな…せっかく会えたのになぁ、」
それなのに宇髄さんは
ごく自然に私の心に寄り添ってくれた。
あぁ…
「会いになんて…来て、ほしくなかった…」
「…そうか、」
悲しそうな声を聞いて、悲しくなった…
「会いに、来てくれて…嬉しかった…」
「そうだな、」
何を言っても、頷いてくれる。
宇髄さんはもう
私の涙が止まらない事をわかっていて
とことん付き合ってくれる事に決めたのだ。
「もっと、話したいこと…いっぱいあった、」
「うん、…」
「あんなに短い時間…」
「あぁ、」
言っても仕方のない事を
いちいち受け止めてもらえる幸せ。
どうしようもないことを
聞いて欲しいんだって事をわかってくれている。
「1番、嬉しかった事は…?」
「…ひっく、」
嗚咽で喋れない私を
我慢強く待ってくれていた宇髄さんは
時間を持て余したのか
部屋の奥に進んで、
大きな籠の中から大判のタオルを取り出して
私に巻きつけた。
「…会いに、来てくれたこと…」
「あんなに短かったのにか?」
「うん…」
「この先会えないなら、
いっそ会わない方が良かったとは
思わなかったのか?」
「思わない!」
彼から体を離し、勢いよく顔を上げる。
出逢った彼は
とても優しい表情だ。
私がそう言うのを待っていたみたいな。