第47章 .☆.。.:..渾然:*・°☆.
「……ん?」
「…んー…重たい?」
袖や裾から
惜しみなく滴り落ちる池の水。
それを覗き込みながら問うと、
同じようにそれを見下ろして
「あー…あんま変わんねぇな」
私の言葉の意味を理解してくれたようで
やっぱりなんて事ない言い方をした。
こんなウソ言うわけないし
…
「力持ちだねぇ、」
「…なんで嬉しそうだよ」
くくっと喉が鳴る。
「え…ッ」
首に巻きつけていた腕を解いて
自分の頬に両手で触れた。
笑われるほど嬉しそうにしてたかな…⁉︎
ちょっと…いや、
すっごく恥ずかしいけど!
「そうだよな。だっこ大好きだもんなー?」
「えぇ!だい、すき…⁉︎」
「あれ?好きだろ、」
片腕に私を収めて、
空いた方の手が私の頭を撫でた。
…
「好き、ですけど…よしよしも好きです」
「わー素直、もっとしてやろうか」
濡れた私の髪をガシガシと
乱暴に撫で始める。
「やめて下さい…!」
「…腹減らねぇか?」
「はい…?」
急に全然違う所へ話を運ばれて
頭がついて行かなかった私の目を凝視め
「はーら」
帯の辺りをツンと突いた。
私は自分のお腹を見下ろして、
「…お腹…」
そういえば昨日の朝以来
何にも食べていなかったんだっけ…
でも、
「…すいてません」
お腹がすいていない、どころじゃない。
満腹と言ってもいいくらいだ。
宇髄さんは私の返事に驚きもせず
「そうか…。蜂蜜やろうか」
当たり前のように話を進めていく。
「……はちみつ」
それは…魅力的です、とても。
すいてもないのに
甘いものなら入りそうな卑しいお腹…
「巣蜜もあるぞ」
「すみつ…?て何ですか?」
「蜂が蜜を集める部分なんだそうだ。
簡単に言えば巣だな」
「蜂の巣を食べるんですか?」
「あぁ、そのまま食うからな
栄養価も高いらしいぞ。
甘露寺が、睦にってくれたんだ」
「蜜璃ちゃんが…?」
「あいつ養蜂してんだって」
「えぇ⁉︎すごい!」