第47章 .☆.。.:..渾然:*・°☆.
「元気出せってさ、」
私の肩を優しい目で凝視め
宇髄さんが笑う。
私の涙にも構わずにいるのは
泣き止ませる自信があるから?
それとも、
悲しい涙じゃない事に気がついているから?
橋の下…池のほとり、
「……おい、」
水に足をつけたままの宇髄さん。
「こら待てよお前…!」
慌てて止めようとする彼になんか構いもせず
思い切り飛び込んだ。
バシャン…!
と、
上がる水飛沫よりも大きな音を立てて
私ごと池の中に倒れ込む。
わざと、押し倒す勢いで飛び込んだのだ。
この人なら私への衝撃を抑えるために
わざとこの勢いを受け入れるはずだって
思っていたから。
跳ねた池の水は、私の涙を隠す。
びしょ濡れになった彼は、
私の笑いを誘うの。
「……のやろ…、笑ってる場合かー」
「ふふ、だって……」
「だってじゃねぇよ、ったく…」
「ありがと…」
「はー?」
耳に水でも入ったのか、
小指で耳を掻き掻き
本気で訊き返す宇髄さんに頬を寄せて
「嬉しかったです」
ぎゅっと首に抱きついた。
両手をわの背中に添えて
一瞬呆けた宇髄さんは、
「嬉しかったか……んー…どこらへんかな?」
目を泳がせつつ
さっきまでの出来事を思い出しつつも
ちょっと困惑しているようだ。
どこらへん、なんて
そんな縛りがあると思う?
「…出逢ってくれて」
「であっ、て…?」
まさか、
そんな所からだなんて思わなかったでしょ?
「私を見つけてくれて」
「あぁ、」
「私を認めてくれて」
「…あぁ、」
「そばにいてくれて」
「あぁ…なぁ、」
「そばに、いてくれて…」
「…睦…、」
「そばに…いてね、」
「わかってるよ」
添えられていただけの両手が
背中を強く抱きしめてくれる。
「いなくならないで…」
「安心しろ。お前が嫌だって言ったって
絶対ぇいなくなってなんかやらねぇよ、」