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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第47章  .☆.。.:..渾然:*・°☆.





あんな事があったのに、
怖い夢のひとつも見ないはずだ。

…というのは、
都合よく考えすぎかなぁ?

でも、優しい花の香りと
甘い彼の香りに包まれていれば
私の悪い考えなんか敵うはずもないじゃない。

それがわかってて、
こうしていてくれたのかなぁ?
そうだとしたら、幸せだ…

宇髄さんを起こさないように、
ゆっくりとそこから起き上がる。
…単に
身体が思うように動かないという理由かも。

よっぽど気が抜けているのか、
この場所は彼しか入らないっていう
絶対的な安心があるからなのか、
…ピクリとも動かない。

それでもゆっくり、
板張りの縁側に直に降りた。

なんだか嬉しいから、
羽織は借りていこうかな…。

心地良さそうに眠っている宇髄さんをそのままに
私は庭へと降りる。
相変わらず余計な音のしないここは
夢の世界にでも迷い込んだみたいだ。

橋の上に立ち、池を覗き込む。
人馴れしていない鯉たちは
私を恐れて水路へと逃げ込んで行った。

ちょっと淋しさを感じつつ、
波立つ水面を眺めていた。

時間と共に少しずつおさまっていくと
澄んだそこに自分の顔が映り込み…
両目がひどく腫れ上がっているのが
はっきりとわかった。

…これは、
どうしようもないや。
もう見られてしまっているだろうし
今更隠したところで…。

でも…心は案外大丈夫な気がする。

昨日は、消えてしまいたいと思うほど
心抉られていたというのに。
空が明るいからかな。
夢の中みたいだからかな…

割と穏やかでいられている気がする。

でもやっぱり、
心のどこかに影があって
常にまとわりついているような。

…やっぱり、宇髄さんの所に戻ろうかな、

そう思った時。

池の脇に、小さな鳥が挟まっているのが見えた。
必死に羽を羽ばたかせているけれど
水面を叩くばかりで
飛び上がる事ができないようだ。


………



野鳥に手をかけたらだめだ。




そんな声が、頭の中に響いた

だれのこえで、だれのことばかなんて
そんなの…

でも、もしかしたら死んでしまうのに。
溺れてしまうのに…

それを見て見ぬふりをする?

このままじゃ
命を、落とす…
私が見殺しにする


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