第47章 .☆.。.:..渾然:*・°☆.
「…いや、今が最高で…
これ以上とかねぇつもりではいるんだけどな
…でもほら、足りねぇって言われたらさ
もっと気合い入れなきゃかなーとか…」
言い訳じみた言い方をすると、
睦は
花のように
ふわりと笑った…
「…きっと、…これ以上なんかないくせに…」
掠れた声はそのまま。
痛々しい様子もそのまま。
なのに笑やがる。
そんな力ねぇだろうに。
「…無理して笑うなよ…」
「無理じゃない…」
「そうかぁ…?」
「そうですよー…」
ぐったりしながらも
睦は楽しそうに話す。
きっとウソはないのだろう。
でも、ちょっと休ませたい俺は
ゆっくり髪を撫でてやる。
こうするとかなりの確率で
眠りに落ちる事を知っていた。
普段からそうなのだから
これだけ疲弊していたら一瞬でもおかしくはない。
「…俺がいればいい、って言えるか?」
心からそう言えるか睦。
痛くてツラかった昔を
俺となら乗り越えられる?
俺なら、癒してやれるか。
独りよがりでない事を願うばかりだ。
だけどお前はさ、
「うん…言える、」
俺のほしい言葉をくれるよな…
「…だって、
もともと私には…宇髄さんしかいなかったもん」
…だけど、それは言い過ぎだ、
父親と母親を失くすような言い方をするなよ…
そう思いたいのはわかるけど…。
「弥彦さんと志乃さんが泣くぞ?」
「…ぁ…!」
だから俺は意味をすり替えてやった。
睦の、どちらの親も
ちゃんとお前を愛していたって…
そう伝えてやりたかったけれど、
そればかりは俺に言い切れる事じゃなくて
適当な事は言いたくないし
想像の域を越えられないから…
だからせめて、
あの2人はちゃんと愛があったよって…
どうやら忘れてるみたいだったからさ。
しまったとでも思ったのか、
「わかってる!
おじちゃんとおばちゃんがいたから
私大丈夫だったんだもん…!」
勢いよく顔を上げて、
…きっと目眩がしたんだろう。
睦は眉を寄せキツく目を閉じた。