第47章 .☆.。.:..渾然:*・°☆.
父親との再会、
それを果たしてから一瞬での決別。
受け入れ難い現実に我を失い、
悲しみのどん底まで落ち込んで。
どれだけ心を削られた事か。
しばらく泣いていた睦は
涙のあとを拭きながら
「無償の愛は、…」
泣いた証拠そのものの鼻声で
睦は話し始めた。
「無償の愛をもらえるのはね、
子どもじゃないの…」
「……ん、」
「親の方なのよ…?」
「……睦…」
悲しい話だな…?
俺は睦を
そっと抱きしめた。
父親に会った事で、余計な事まで思い出したか。
「親は、子どもに無条件で愛してもらえる。
でも子どもはね、愛してもらいたくても、
そうならない時もあるの…」
掠れた鼻声。
真っ赤に腫れ上がった眼と
白く浮き上がった肌。
誰が見ても、憔悴し切っている。
まったく…こんなになるまで…。
「そうかよ。よかったなぁ俺が他人で」
少し投げやりに言い放つと
「……へ?」
睦はギョッとしてこちらを見上げた。
『他人』という言葉にビクついたのだろうが
悪い意味で言ったのでは勿論ない。
「俺も愛された記憶なんかねぇ。ただ、
俺からも愛したことなかったし。
…その分、今お前を愛してるんだ」
「……」
ぽかんと開いた口。
理解できるまでに時間がかかりそうだな。
「無償の愛なんてモン、
ダレカに求めなくても俺がやってるだろ。
足りねぇってんならもっとやるから
淋しそうにすんなよ」
「……もっと、なんてあるの…?」
「ん…?」
……。
すげぇとこツッコむんだな。
まるで
『こんなにもらってるけど
それ以上がまだあるのか?』と
訊かれたような気分だ。
いや、そういう意味で言ったのか。
…そこは怪しいとこだなぁ。
確かに今、全力で愛を注いでるけど。
それ以上があるってことはだ、
今が限界ではないって事になるワケで…