• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第47章  .☆.。.:..渾然:*・°☆.






「今すぐにとは言わねぇよ…でも、
俺の事は、入れてくれてもいいだろう?」

緩く開いた睦の瞼が、
パチリと動いた。

「なぁ、お前の悲しみの中に、
俺も入れてくれよ。一緒に悲しもう…
いつもみたいに半分こ、してくれよ」

それくらいの資格、俺にはあると思うんだ。


「独りぼっちのフリはやめてくれ。
俺まで悲しくなる」

大きく開かれて行く瞳に
みるみる溜まって行く涙。

「やっと、見つけてくれた?
俺はずっと、睦と一緒にいたけど、
知ってたかよ…?」

くしゃりと顔を歪めて
睦は涙を零す。

そうだよな。
俺のことなんか見てる筈もなかった。
なのにそんな事を訊いたりして、

「…ごめん。意地悪だったな、」

そう、意地悪だ。
そんな余裕がなかった事は一目瞭然。

「でも、淋しかったからよ。
お前が俺のこと除け者にするから」

「……っ」

「どんな時でも俺を巻き込めよ。
睦になら、どんな状況でも付き合える。
ちゃんと隣に並ばせてほしいんだよ」

うんうんと
何度も頷きながら
睦はぼろぼろと涙を零した。

「ごめ、ね…」

ようやく聞けた睦の声。

無理やり押し出した
情けない声だったけど、
俺には迦陵頻伽の囀りのようにさえ聞こえたよ。

「俺も、ごめん」

焦る俺を許してくれな。

もっとゆっくり癒やしてやれたらよかったのに
お前のそんな顔さ…
もう見てられねぇのよ。

だからって、
無理して笑ってほしいとは思わない。
なのに、泣いてもほしくないなんて
矛盾してるよな…

だけどもう、充分だろ。

あんな叫ぶみたいな泣き声、
もう聞きたくねぇよ


だけど、今の反応を見る限り、
もう大丈夫な気がしていた。
泣いてはいるものの、
明らかにさっきまでとは違う。

無意識に流す涙じゃなく、
ちゃんと
わかっていて泣いているのがわかる。


/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp