第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「睦を、頼んでもいいのか」
「睦を守れるのは
俺しかいねぇと思ってる」
「本当だろうな」
「俺はあんたとは違う。
大事な女を守るのに、我を失ったりしねぇ」
「はは…違えねェ」
お父さんは力無く笑う。
宇髄さんの静かに怒ったような物言いに、
不思議と腹は立たなかった。
お父さんを侮辱しないでって、
そんなふうに言えなかった…
宇髄さんは私のために
怒ってくれてるんだなぁと感じたから。
そしてお父さんは
私のために、叱られてくれてるのだ。
お父さんは、
そうされたがっているように見えた。
本当に申し訳ないと思っているのに、
私が責めないから…
誰かにキツく言われて
自分を痛めつけたいのかもしれなかった。
だけど…
…この2人が揃うと、
変な緊張感がある気がする。
この場に居づらいような…
おじちゃんとなら和やかな雰囲気だったのに。
「睦…よかったな、
お前が幸せそうでよかった。
元気にしててくれて、よかった…」
「みんなのおかげだよ。
私、1人じゃなかったから…」
「あぁ、感謝しかねえ。
俺が間違えちまった分…それ以上に
お前は幸せになってもらわねえと…」
その時、
表通りの方で大きな声が聞こえた。
お父さんも宇髄さんも、
ハッとそちらに目をやった。
何となく、その時が来たんだと
感じていた…
「睦、ごめんな時間がねえ」
そう早口で言われて
私は咄嗟にお父さんの胸元を掴んだ。
「っ…睦、」
困惑したような表情。
こうなる事を予想していたかのような。
「もう行く」
「…やだ」
「お前と一緒の所を役人に見られたら厄介だ。
睦にとばっちりが行く」
焦ったように言われても
私は首を横に振る事しかできなかった。
「俺は罪人だ。人を殺めておきながら
お前に会いたいってだけで脱獄して来た。
勝手ばっかりの俺を許せとは言わねえが
…ごめんな…睦とこうして
話が出来たんだ。俺ももう、…」
私の目を見て、そのまま口をつぐむお父さん。
…もう、?
もう、なに?
行っちゃうの?
また私をおいて?