第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
あぁ、泣かないで…謝らないで…
お父さんは、悪くない。
悪くないのに…
お父さんが泣くと、
つられて私も泣いてしまう。
「自業自得だけどよォ…
やっぱり俺は…そばにいてやりたかった…
ごめんなァ…ごめん…」
「…も、謝らないでよぉ…!
私は、大丈夫なの!お父さんは…悪くない、の。
いつも私を…たすけてくれたんだよ…!」
「だってお前…いつも、
あんな目に遭わされてたのかよ…?
それを、1人で我慢してたんじゃねえのか。
小せえガキがあんな…」
お父さんの奥歯がギリッと鳴った。
「気づいてやれなかった自分が
俺は許せねえ…!」
それは、あの日
私が受けていた『躾』のこと。
…そうだよ。毎日だった。
お父さんが仕事に出かけた瞬間から、
私は怯えて過ごしていたの。
だけど、そんな事はもういいんだ。
そう思えるようになったの。
過ぎた事を恨まないで。
それを経て、幸せになった私を見て。
それを、ちゃんと伝えなくちゃ。
「…あの時は、毎日が怖かった。
でももういいんだよ。
お父さんが私を愛してくれたから」
私は、もう笑えるようになったんだよ。
「お父さんが愛を、私に教えてくれたから
私も色んな人を愛することができたって
思ってるんだ」
「愛…?」
「うん…。それに今は、
いつも私の事を見ててくれる人がいる。
その人たちが、私を救ってくれた」
おじちゃんやおばちゃんや…
こんな私にも、ともだちだっているんだよ。
それから…
「私なんかを、大切にしてくれる人がいるの。
その人のために、私も……幸せになるんだ」
私がそう言うと、お父さんは
後ろで静かに控えていた宇髄さんに
ふと目をやった。
少し、厳しめな視線…
「おいアンタ…
アンタは、睦の…?」
「あぁ、…」
宇髄さんは
どう接していいかわからない様子だった。
突然現れた私の実の父親に、
緊張でもしているかのように見えた…
だけどあの宇髄さんが、
そんな事になるだろうか…
ただの、思い違いかもしれない。