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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第46章  .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.





だが睦はよくわからないという顔をして
花びらを1枚指でつまみ
目の前にかざした。

そしてふるりと、背筋を震わせた。

ふと見上げれば空は
薄黄色に変化しつつあった。

「睦、暗くなる前に帰ろう」

随分と長居しちまった。
こいつといると腹も減らねぇ。
睦もまたメシを抜いても平気だから
何も言って来ねぇし…

俺ら2人でいたら
そのうちガリガリに痩せてくわ。
それは駄目だ。
睦はこんなに小っせぇのに
すぐに倒れちまう。

「はい…ちょっと冷えて来ましたね」

傾いた日はここまで届かない。
もう少し早くに気がつくべきだったのに。

俺は立ち上がりざまに
睦の腕を掴み
共に立ち上がった。

互いに自分の着物の裾を払い、

「行くぞ」

「はい、」

そう確認をして笑い合う。

手を引かれる睦は
俺から半歩遅れて歩き、
その姿がまた何とも愛しく感じられたのだった。




町に戻ると、
大通りはいつにも増して人で溢れていた。

「…こんなに混むものなんだな、」

「この時間は1番賑わう時間です」

「そっか…」

夕飯の買い出しの女たちで賑わうそこは
…めちゃくちゃ歩きにくい。

「なぁ、裏道入るか」

「え?…はい、」

周りを見渡して
睦は何となく理解したようで
曖昧に頷いた。

脇道に入り、1本裏通りに入る。

表とは違い
そこは閑散としていた。
住んでいる人間しか使わない道だ。
華やかさはないが歩きやすい。

睦を連れている時は
この方が安心する。
今は、特に。

「1本違うだけでこんなに静かなんですね」

…さっきから、
睦はずっと笑顔のままだ。
俺はそれが不思議でならなかった。

「なぁ…」

「はい?」

「何でそんな笑ってんの?」

「えぇ…?」

睦は驚いて、
弾かれるようにこちらを向く。


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