第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
こりゃダメだ。
考える時間がほしい。
このまま屋敷に帰ったら
きっとそんな時間は取れないだろう。
「睦、ちょっと寄り道しねぇか」
突然の申し出にも関わらず
ぱっと瞳を輝かせ
「え…!寄り道?」
あからさまに明るい声を上げた睦は
やりすぎたとでも思ったのだろう。
少し恥ずかしそうに目を伏せ
さっきの態度をごまかすように、
「…例えば、どこでしょう?」
なんて澄まして見せた。
わかりやすくて笑えてくる。
可愛い可愛い。
もう何をしようが揺るがねぇな。
「睦が好きそうなとこ」
「……?」
「いいからついて来な」
悪いようにはしねぇから…
そう続けると、
睦は俺に素直に手を引かれ
黙って従った。
その嬉しそうな顔を伏せる仕種も、
指先だけを絡めるような
遠慮がちな繋ぎ方も、
どこか1歩引いたような態度に
ひどく惹かれる。
もっとドンとぶつかってくればいいのに
そうしないのが何とももどかしくて、
なのに間違いなく
俺の事を想っているその態度が
たまらなく俺を惹きつけるのだ。
睦の澄ました頬を
人差し指でつつきながら、
「嬉しそうだなぁ」
少し浮かれてからかってみる。
すると睦の方も
「嬉しいです…だって、
もう終わっちゃうと思ってたから…」
「終わる?」
「お出かけが」
「あぁ、…ん?淋しかったのか?」
「へへ、ちょっとだけ、」
「ならそう言えばいいだろう」
また妙な所で遠慮しやがる。
まさか一緒に出かけて
淋しい思いをさせているなんて思わねぇ。
こりゃよくよく気をつけねぇと
どこでどんな思いをさせているのか
本当にわかったモンじゃねぇな。
「だって、
一緒にいるのに淋しいもないでしょ?」
わかってんのかよ、自分でも。
「一緒にいようがいまいが、
ちゃんと言いなさい。
俺には何でも言えって言ってんのに」