第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
そんな終始幸せな(俺だけ?)まま
辿り着いた睦の家。
門をくぐった瞬間、
違和感を覚えたのは
さすがに俺だけではなかったようで…
「……」
玄関に続く道と庭の境に植わっている低木が
乱れている事に気がついた。
ついでに、
地面には新しく出来たと思われる足跡。
随分と歩き回ったようなその跡に
睦の視線が釘付けになっていた。
ここ最近の出来事。
それによる俺の所への避難。
その原因…
いっぺんに色んな情報が閃いた事だろう。
睦の顔色が変わり、
繋いだ手に力が込められた。
空いた手で頬を撫で上げて
そのまま睦の頭を抱え
自分の胸に押し付ける。
ふ、と小さく息をつき、
睦は俺にしがみついた。
…怖い、と言われているような気がして
「睦…何も見るなよ。
俺が先に行く」
できる限り普段通りを装って言い聞かせると
こくりと頷いた睦が
それでも不安そうに見上げてくる。
「大丈夫だよ、家の中には誰もいねぇし、
お前には俺がついてる」
穏やかに微笑んでやると
「宇髄さんは平気?」
どうやら俺の心配をしてくれているようだ。
こんな時まで人のことか。
「平気だ。俺は強ぇんだって知ってるだろ?
何で強ぇか知ってるか?」
「…鍛えたから」
「まぁ確かにな。でもそれだけじゃねぇよ」
きゅっと小首を傾げる睦。
俺からちっとも離れようとしない姿勢が
どれだけ不安かを物語っていた。
どうにかそれを取り除いてやりたくて
「睦を守るって決めてるからだ」
腕に力を込めて抱きしめる。
「睦を守るってのは、
全部を守ってやるって事だからな。
睦の身体も心もだぞ。
傷ひとつつけさせねぇし、
悲しませる事もしねぇんだ。
…ってことは、」
「……うん…?」
「俺もちゃんと無事でいるって事だからな」
だから心配すんな、という
俺の想いはちゃんと伝わったらしく、
睦はやっと
小さく微笑んで見せた。