第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「ありがとうございます…」
優しいなぁ…
冷たくないわけがないのに。
怖い夢の後の、
押しつぶされてしまうような
孤独な気分も一掃されるようだった。
「なんか作れたか?」
話を逸らしたかったのか宇髄さんは
昼間に買ってくれた
端切れの事であろう話題を
私に振ってくる。
「はい。可愛いリボンを作りました。
須磨さんも褒めて下さったので
明日皆さんに
もらって頂きたいなって思ってます」
「そっか。きっと喜ぶだろうなぁ」
「そうだといいんですけど。……、」
「ん?」
ある事を思い出した私。
それを目敏く見抜いた宇髄さんは、
こんな時
私がすぐにごまかすのを知っていて、
そうさせないようにと
強く目線を絡ませた。
…うぅ…
あんまり迷惑かけたくないんだけど。
それでも逃げられる気がしない私は、
「明日なんですけど…」
仕方なく本音を曝す。
「あぁ、」
「少しだけ、時間ありますか?」
「睦の為なら
どんだけでも空けるけど?」
本気とも冗談ともつかないような台詞を
余裕の笑顔で発した。
「えぇ……ふふ、ありがとうございます」
「なんかしたいのか?」
宇髄さんは、珍しいなとでも言いたげに
少しだけ目を見開かせる。
確かに、私がこんなに素直に話す事は
珍しいかもしれない。
だけどそうさせたのは
他でもないこの宇髄さんだというのに。
そこに気がついているのだろうか…。
「はい…家に、取りに戻りたい物があるんです。
いつも使ってる道具なんですけど…
リボンの仕上げに、
飾りを付けたいなと思いまして…」
「ほぅ、…わかった」
宇髄さんは二つ返事で頷いてくれ、
「えらいな睦。
俺への迷惑だと考えずに
ちゃんと言えたじゃねぇか」
更ににこにこ顔で褒めてくれた。