第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「ありがとうございます。
だけど…ここに居れば安心ですし、
本当に大丈夫です!
須磨さんもゆっくり休んで下さい」
できる限りの笑顔で伝えた。
なのに
「睦の『大丈夫』は信じるなって
天元様に言われています!
今夜は、襖の向こうに控えていますから、
何かあったら声かけて下さいね!」
なんだって⁉︎
宇髄さんひどい!
…でも…
ありがとう…
「だけど、それじゃあ須磨さんが…」
「私は慣れっこです!
任務の時はもっと大変な思いもしてますし。
天元様が戻られるまでの間だけですから
気にしないで下さいね!」
「…須磨さん…」
「その代わり、
さっきのリボンはちゃんと頂きますから!」
「あ…、」
須磨さんは
いたずらっぽく片目を瞑って見せて
小さく笑った。
「はい!」
私は須磨さんからの好意を
ありがたく頂戴し、
その夜は安心し切って床に就いた。
きっと、そんな夢を見たのは、
さっきあんな事を
思い出してしまったから…
そして、
悲しい夢は、優しい声で終わりを告げる。
ふと
開いた瞼。
ひらけた視界に、
愛しい人の心配そうな顔が
めいっぱい広がった。
「…ぅずいさん…?」
「ん……大丈夫か…?ツラかったな…」
つらかったこと、何で知ってるの…?
私の目尻に親指を添えてスッと引く。
そうされて初めて、
泣いていたのだと気づいた。
夢のせいかなぁ…?
「おかえりなさい…」
「あぁ…ただいま、」
当たり前のように交わす挨拶。
だけどそれは、当たり前じゃない事を
私は知っている。
出掛けた人は、
必ずしも帰ってくるわけじゃないの。
実際、私のお父さんは
そのまま帰ることはなかった…
「遅くなって悪かったな…」
「お仕事なんです。
宇髄さんのせいじゃありません…」
「それでも…お前を1人にした罪は重いな」
「須磨さんがいて下さいましたから」
「あぁ、そうだな…
少しは楽しかったか?」